夢や問題を解決するために、ひとつひとつ解決していく手順や考え方を記した本。読みやすい内容でシンプルだが、実際に行動するかどうかで違いが出るだろう。内容に派手さはないが、堅実で確実だと共感できる一冊。コンサルタントに依頼しようとしている企業や、コンサルティングの入門書として最適か。
(個人的にこの人の本は好きだ)
コンサルタントの習慣術 頭を鍛える「仕組み」をつくれ (朝日新書) 野口 吉昭 朝日新聞出版 2009-03-13 |
コンサルタントの習慣術 頭を鍛える「仕組み」をつくれ
野口 吉昭
早く仕上げて「熟成させる時間」を持った仕事は、完成度が高い
考える習慣がある人は、常に、未来をみている。判断基準をもっている。ポリシーがある。一方、悩む癖(習慣とはいいにくい)がある人は、過去を意識する。判断基準をもたない。ポリシーがない。前に進まなくとも気持ち悪いと思わない。
「センス」とは、考える力、考える習慣によって磨かれる、瞬間的に物事を判断できる能力だ。良いセンス、優れたセンスは、経験、実践、そして考える習慣によって、はじめて身につく。
コンサルタントは、アンケートという定量調査よりも実は、インタビューという定性調査を重視する。また数字よりも、ときに定性的な言葉を重視する。
「三つに分ける」ことを思考の方として身につける
「眼大局・着手小局」。大きな視点で物事を見て、小さなことから着手する。
社会のなかで持続的に活動を行っていくためのミッション(存在意義)やビジョンを有し、それを実践できている企業が社会からも尊敬される。
新たなものを創り出せる人とは、新たなものを創り出すための時間を創れる人なのだ。
カウンセラーは、クライアント(来談者)の言葉にしっかりと耳を傾ける「傾聴」と、悩みをきちんと受け止める「共感」の態度を大切にすることで、クライアントと信頼関係を築く。
私のコンサルティング経験から、プロジェクトが失敗する一番の敗因は、チーム内のコミュニケーションに問題があることが多い。
やるべきこととその優先順位を決め、短く適切な言葉で部下に指示を出す。それ以外のことは、いっさい頭から排除している。
人間は調子がいいときはだれでも強くいわれる。しかし、物事がうまくいかないとき、弱くなったときこそ、そんな自分でも受け入れてくれる居場所が必要になる。あなたは、あなたのままで価値がある、ということを確認してくれるチームが必要なのだ。
リーダーに求められる二つの力
一つは「チームとして何を目指してどう行動するのかについて、ビジョンを示して実行する力」。もう一つは、「部下を育てたり、チーム力を上げるといった、チームをマネジメントする力」である。前者をビジョンシップ(仕掛ける力)、後者をマネジメントシップ(仕組む力)と呼んでいる。
■ビジョンシップ(仕掛ける力)
1.先手で変化を読み抜く力 (変化把握、課題体系化力)
2.未来の姿を描ききる力 (ビジョン構想力)
3.ビジョンを実現する力 (戦略・計画構築力)
■マネジメントシップ(仕組む力)
4.組織力アップのシステムを作る力 (仕組み構築力)
5.チームの価値を最大限に引き出す力 (ファシリテーション力)
6.次代のリーダーを育む力 (人材育成力)
リーダーに求められるのは、部下ごとに「どんなタイプのリーダーが必要とされているか」を把握することである。