著者のもつ講座の宣伝本。だがこの本から得られる情報や知識は非常に多く、もっとマネーのことを意識しつつ、グローバルな視点でビジネスに取り組む必要性を実感させられる。煽られる危機感が日本に本当に訪れるかは別としても、これから数十年を考えるきっかけになる一冊。
マネー力 (PHPビジネス新書) 大前 研一 PHP研究所 2009-01-17 |
マネー力 (PHPビジネス新書) (新書)
大前 研一
ホームレス・マネーは、主に先進国のファンド、オイルマネー、それに中国マネーの三つで構成されている。
とにかく日本というのはそういう国なのだから、国家になんとかしてもらおうなどとゆめゆめ思わないことだ。同時に、円を特別視することも即刻やめ、あくまで世界通貨の一つとして見る。
年間利回りは国民平均で6%ぐらい、中間管理職中心の資産運用に関心の高い層では8~10%。つい最近までハーバード大学の大学基金などに至っては15%もの利回りを上げていた。
最初に求められるのは、為政者が世界の資産運用技術のレベルを正確に把握することだ。ドイツやアングロサクソン系の国々の運用技術の研究、エジンバラを中心とするイギリス系ファンドマネジャーの研究、先に言及した資産運用効果のいちばん高いオーストラリアなどの研究は必須である。
政府与党や文部科学省のいうことに黙って従っている人ほど将来が暗いということに、そろそろ日本の国民は気づくべきだ。暗いというのは、国際社会でお金を稼げないだけでなく、手元の資産を増やすこともできず、さらには国にかすめ取られても文句一ついえない人間になってしまうということをも意味する。
マネー力がある人は例外なく、自分の国をあてにしていなければ、自国通貨も特別視していない。要するに、真のマネー力というのは、危機感をもって日々の生活を営んでいる人でないとなかなか身につかないのだ。
二十一世紀というのは、道のない荒野である。世界中どこに生まれようが、どちらに行ったら水や果実があるのか誰もわからないのは同じ。生き残りたければ能力や技術を磨き、進むべき方向を定め、自分の手で道を切り開くことのできる人間になるよりほかないのである。
多くの金持ちが息を潜めて2010年を待っているからだ。(アメリカの相続税ゼロについて)