大きな視点から経済について教えてくれる一冊。竹中平蔵さんの印象が大臣の頃と大きく変わったが、佐藤雅彦さんの質問力のせいだと思うのが1つ。もう1つは、対談形式だというところだと思う。直接的に自分に影響することはないかもしれないが、グローバル化するこの社会で知っておきたい知識がまとまっている。
経済ってそういうことだったのか会議 (日経ビジネス人文庫) 日本経済新聞社 2002-09
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目次
第1章 お金の正体-貨幣と信用
第2章 経済のあやしい主役-株の話
第3章 払うのか取られるのか-税金の話
第4章 なにがアメリカをそうさせる-アメリカ経済
第5章 お金が国境をなくす-円・ドル・ユーロ
第6章 強いアジア、弱いアジア-アジア経済の裏表
第7章 いまを取るか、未来を取るか-投資と消費
第8章 お金儲けはクリエイティブな仕事-起業とビジネス
第9章 人間とは「労働力」なのか-労働と失業
終章 競争か共存か
国がなぜその国のお金を発行するか、もちろん理由があります。お金を発行しておきさえすれば、お金の量を増やしたり減らしたりすることによって、政府は国の経済を安定させることができるんですね。いわゆる「金融政策」です。
理屈上トヨタのバリューは何で決まるのかというと、ひと言でいえば「期待と金利」で決まるんです。
ダウというのは三十社の平均でやってるはずです。ところが、日経平均というのは、二二五社でやってるんですよ。
税の三原則
1.簡素
2.公平
3.中立
アメリカは国内政治の中にすでに外交の要素が入っていて、それをいかに統合していくか、共通のルールを作るか、独立性をある程度認めるかなどを、十九世紀からやってきているのです。そういう意味ではすごく慣れているわけです。だからこの連邦主義、フェデラリズムというのが、他の国、特に日本には全然ない、非常に大きなアメリカの特長になっています。
"ドゥーファクト"です。まず事実をつくれというのが"ドゥーファクト"で、それがデファクト・スタンダードだ」「ドゥーファクト」が「デファクト(defacto, 事実上の)」になるわけですね。
論理学の本当に基礎的なところですけども、考えるということは何を意味するか。実はこういう結論に達するんです。人間が考えるということは抽象化することだ。抽象化しないと、本質を考えることはできない。
アメリカがアメリカたり得るためには、「ニューワールド」「フロンティア」「多様性」という三つの概念が欠かせないということですね。いわばDNAと言ってもいいんじゃないでしょうか。
為替レートが変動しないということは、価格の調整がない社会なので、実物経済のほうを調整しなければいけなくなってきますからね。~中略~需要と供給は一致しますから、それを価格で調整できないとなると、需要と供給のどちらかをモノで動かすしかない。
「貧困の悪循環」
貧しいといつまでたっても貧しい。
いつも貧しい→空腹で力がでない→働けない→(はじめに)
投資という言葉の対象は、やはり資産としての価値です。その中にヒューマンな価値も当然あってしかるべきですが、数字ではかれないでしょう。だから経済の統計には出てこないんです。
「起業」っていうことには二つあって、井深大さん(ソニー創業者)や本田宗一郎さん(ホンダ創業者)がやったように、ある明確なイメージがあって起業する場合。
「マーケットが評価してる」っていう言葉で経済学的には表現するわけですね、儲かってるということを。
「リスクをとらないとリターンは上がらない。それが成熟したマーケットだ」という、徹底した考え方をお持ちなんですね、きっとね。
カスタマーズ・サティスファクションとは、まさに「相手の立場になって考える」ということです。成功した企業はこの精神を積み上げていってますね。
今まで量的なものを問うていたのが、今度は質的なものを問うていくわけですね。
マーケットの規模が倍になったというのはわかりますけど、壁の向こう側だったところは、買い手であると同時に売り手でもあるわけですよね。つまり強弱を別にして競争相手も倍に増えたと言えるんじゃないですか。
まさにドッグイヤーで、人間の寿命は少し延びたけれど、我々の目の前の景色の変化はもっと速く、それでしんどいという面はあると思うんです。
新しいものをどんどん欲しがっていて、でもなくしたものに対して、あれもあったいいのにと思っている。ひょっとしたら非常に病的なのかもしれないなぁと、思ってしまうこともあるんですね。
市場価値という言葉がありますが、市場で価値が認められることをやるのが経済行為、そうではなく市場では価値が認められないけれど、私とあなたにとってはものすごく価値のあることは、間違いなく世の中にあるわけです。