2015年05/17(日)、大阪市の住民投票は反対で決着した。大阪市民に勝利者はいない。
投票率 66.83%
・賛成:694,844 票:得票率 49.6%
・反対:705,585 票:得票率 50.4%NHK大阪住民投票 開票結果
http://www3.nhk.or.jp/osaka2/senkyo/
大阪知事・市長のダブル選挙のときの投票率が「60.92%」だったよう。 (wikipedia 大阪市長選挙)そこからみると、1割多く足を運んだことになるようです。
ボク自身、投票所で並んで待たされたのははじめてだったので、関心の高さだけでなく、行動するほどに影響があったと感じました。
■年代別・性別の投票分布
「出口調査」を前提としているので、「出口調査では賛成51%」と出ていたこともあり、どこまで鵜呑みにできるのかわからないですが、60代までが賛成。70代以上の反対投票で、住民投票は反対で決着したことになります。
支持政党別だとこんな風に。維新以外は反対。無党派は拮抗。自民は事情があって、ぐらつき気味。
さきほどの色調では判別が難しかった方はどうぞー。青:賛成多数、黄:反対多数 pic.twitter.com/wOPcXj6dKE
— 2087A/W 中村敦則 (@GazyaKieph) 2015, 5月 17
地域別だとこうなっている。
読売TV「ten」の出口調査表のと比較して、70代以上が住んでいる地域がわかります。
大阪市における特別区の設置についての投票 開票速報∥大阪市選挙管理委員会
http://www.city.osaka.lg.jp/contents/wdu240/sokuho/kaihyo_data_10.html
元になっている値は、 大阪市選挙管理委員会が公開しています。
経緯と状況
大阪では過去最高の「投票率 66.83%」までについて書いてみます。
(実数は調べてないです、すみません。これに載ってなかった)
2007年、橋下徹氏が38歳、無所属で大阪府知事に出馬し、当選。
出馬当時と、2015年では雰囲気が大きく変わっているし、多くの人が強引・独裁といったイメージを持っていると感じていますが、独自の弁論術と、既得権や聖域を気にせず遠慮しない切り込みでメスを入れ、周りを巻き込んでいきました。そこから8年がけで住民投票までこぎつけた。(詳細は wikipedia-橋下徹 参照 )。
最後は、自身の政党の力(支援票)だけでなく、他の党による賛成の後押しがあり、住民投票を行うまでにたどり着きました。「急ぎすぎ」、「強引」、「もっと慎重に話し合いを」という声を振り切って、「住民投票で賛成をもらってからがスタート」ときっと考えて、性急にコトを進めていきました。でもこのキャラクターで取り組んで、改革スタートのここまで8年かかる。
反対で決着がつき、このキャラクターで8年間かかったこと、他の政党から代案が出ていないこと、大阪では維新が第1党であること、を考えると、大阪(市)は10年は停滞することになると思います。今の日本で10年停滞するということは、どういうことになるんだろう?
「tenの出口調査」からみると、賛成派は高齢者へのアプローチが不十分で、そこへの対処をしきれなかったために反対で決着がつきました。賛成・反対どちらに決着がついても、早急に制度が変わるわけではないとボクは思っていたため、10年後への投票だと思っていました。若い世代へいくに従って、賛成が多くなっていますが、高齢者、特に70代以上の反対で決着。日本の人口ピラミッド構造を大阪も反映しています。
橋下徹氏は任期満了で政界を引退することを表明しました。やりきったはずなので、スゴくすっきりしたんじゃないかと思います。大阪には機会と混乱と、サンクコストがかかっちゃいましたが、日本全体では必要経費だったんじゃないでしょうか。ボクはそう思います。
これからの大阪と日本と
大阪は、政令指定都市でありつつも、経済はすでに地方レベルです。東京と競い、アジア拠点になる機会をいったん失いました。
平行して、大阪市の問題を次のように抱えており、対応や考え方を公開しています。
・大阪市問題 - Wikipedia
・大阪市市政 職員 平成26年2月
*「大阪市問題」をよくみると、驚がくです。怖いので転記しません。。。
今後当面は、日本経済は東京へ一極集中していくと思いますが、他の“都市”での改革や、大阪に新たなリーダーが登場することが望まれて・・・いないんですね。今回の投票結果だと。
高齢者、特に70代以上をとりこにできるリーダーの登場は望まれてるかも?民主主義の仕組み、少子高齢化社会の完成、がこれほど明らかになったことはなかったんじゃないかな。
だから、今後は高齢者を手厚くするようなことが求められます。これまで通りの行政サポートだったり、民間企業のビジネス参入あたりでしょうか。高齢者への支援を打ち切るような政治家は、再当選が難しくなります。
市内にあるボクの地元は、製造企業の社宅だけでなく、企業そのものが廃業・閉鎖へ追い込まれ、跡地は老人介護施設で溢れているし、支援を必要とする人へ環境が次々とできています。その区は開票結果でも反対が大きく上回っていました。これらを整えて、支援していくことが、現役世代や若者が国内で生きていく道かな。
高齢者問題なら、これからお隣の国でも出てくる問題なので、率先して取り組むことで新たな突破口が開くかもしれないですね。
「投票率 66.83%」についてもう1度考えてみると、投票所まで足を運ばないといけないわけだから、投票率は100%になんてならないんですね。「残り1/3が投票にいってれば・・・」は分析違いです。投票率のMAXは机上の数値でもどれくらいになるんだろう?成人しないと納税していても投票権はもらえず、年金を受け取って寝たきりでも権利はある。この矛盾は何とかしてほしいです。でもその票を抑えているのが高齢者なので、このままで永続決定でしょう。高齢者が悪いわけじゃなくて、書きたいのは今はそういう制度になってるってことです。
今回反対で決着した部分は、理由からみると大阪市だけの問題ではなく、むしろ日本全体の問題です。少子化は確定し、高齢化も確定しているためです。現役世代や若者世代が稼ぐためには・・・
1.今いるところで、高齢者支援をがんばるか
2.人でいっぱいの東京へ足をのばすか
3.海外で新たなチャレンジをするか
この3つくらいですか?
大阪がコストをかけて日本の縮図を明らかにしたので、次はどこかの“都市”が挑戦するのを期待したいです。そのときは、高齢者に対するアプローチをきちんとすることを重要視してほしいですね。日本は、価値観の多様化や、格差社会の先進国、でも斜陽。どこが突破口になるのか、ひとつの答えを数値にしたのが大阪市民だったと考えています。
*最後は外出前にバタバタ書いたので、ツッコミをお願いします。
*引用がないものは、すべてボクの推測だよ